愁を操る影の存在と警察内部の深い闇
物語が急展開をみせたのは、盗撮犯から押収したフィットネスジムの隠し撮りデータにある人物が映り込んでいることが発覚した際。顔は見えないものの、飛鷹は通り過ぎる女性の腕に描かれた“虎のタトゥー”に気づく。
それは、元妻・井伏愁(観月ありさ)が10年前につけていたものと同じであり、同時に彼女が実行犯だということを示していた。飛鷹と愁が初めて話すようになったのは、“虎のタトゥー”がきっかけ。そんな思い入れのあるものが実行犯=愁であると確信する決定的な理由になってしまったのが、何とも皮肉である。
飛鷹と愁は元夫婦という間柄だが、倫子にもなぜ別れたのか不思議がられるほど仲がいい。愁は「ずっと千寿の味方でいることは無理だから別れた」と言っていたが、これは妻として信念にまっすぐすぎる飛鷹に付き合いきれないという意味ではなく、法に背いていたからだったとは…。
飛鷹に協力していたのは、その方が何かと動きやすかったというのもあるだろう。けれど、倫子に「何があっても千寿の味方でいてあげてね」と声を掛けるなど、言葉の端々からは良心と飛鷹への情が感じられる。
次回予告では、飛鷹から取り調べを受ける愁の姿が映し出される。「任務とあらば従います」との言葉が飛び出したが、自らの意思ではなく、あくまで何らかのタスクということなのだろう。
10年以上のキャリアを持つ愁や加勢に指示できる人物とあれば、かなりの階級であることが考えられる。しかし、名刑事として活躍したのち誤認逮捕でオクラ落ちした鷲沢のような例もあり、いまだ黒幕については不透明。どうか愁が、門真と同じ結末にならないことだけを願いたい。
(文・西本沙織)
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