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まさかの依頼者の自作自演

『モンスター』第7話 ©カンテレ
『モンスター』第7話 ©カンテレ

 テレビ局、役所、自分が勤めていた饅頭屋、と三者を訴えるということで、一体どのような論戦となるのか…と思ったが、今回はポイントがいつもとはちょっと違う。

 なんと、今回の事件は依頼者である里佳子の自作自演。事の発端は、ドラマの大ファンだった里佳子のドラマへの愛が暴走を招いたことだった。

 それまで違う町で会社員だった里佳子は、ドラマにハマったことで会社を退職し、ロケ地を特定してわざわざ引越した。『みやこし』で働きだしたのも、ドラマが理由だった。

 しかし、ドラマの人気に火がついたことによって、続編製作などの様々な企画が動いていたことを、里佳子は快く思っていなかった。『みやこし』とのコラボ饅頭だって、本当は嫌だった。好きすぎるがゆえに、作品が汚される…とその思いが暴走していく。

 自分がドラマのイベントで事故死すれば、ドラマの続編制作は中止されるはず。それなら作品と一緒に死んでやる、これは私が好きな作品のため…という、ある種の過激な思想だ。

 里佳子の気持ちが全く分からないというわけではない。人気ドラマであれば、すぐに続編を期待する声が上がるが、綺麗にまとまっている作品にわざわざ続編を作らなくてもいいのでは? と思うことは筆者にもある。

 登場人物たちに無理やりカルマを課して強引に物語を続けていくのはちょっと…なんて思いを抱くこともあるし、前作で完成していたものを違う形に変えられた、と考えた経験もある。

 だからといって、作品と心中しようとまでは思わないけれど、里佳子の根っこにある想いに共感する人も少なからずいるのではないだろうか。

 とはいえ、里佳子の行動は“推し活”の範疇を越えている。借金をしてロケ地の町に引っ越しているし、坂口の真意が知りたくて、全国各地で行われたトークイベントは全て足を運んだ。それは同時に、坂口のドラマに対する想いの強さを測って値踏みするかのようだ。

 もちろん、坂口もプロデューサーとしてドラマを愛している。しかし、里佳子から見ると愛が足りてない。作品が一番ではないから。

「自分は作品を中心に生きている」

 そう誇らしげに言う里佳子の姿はなんだか胸が痛い。

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