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溝端淳平の”白鳥構文”がこんなに沁みるとは…小泉進次郎とは別のもう1人のモデルとは? ドラマ『民王R』第6話考察レビュー

text by 田中稲

遠藤憲一が主演を務めるドラマ『民王R』(テレビ朝日系)が放送中。本作は前作『民王』から9年ぶりの続編。池井戸潤の原作をインスパイアし、総理大臣が全国民を対象に、心と体が入れ替わる痛快政治エンターテインメントだ。今回は、第6話のレビューをお届けする。(文・田中稲)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:田中稲】

ライター。アイドル、昭和歌謡、JPOP、ドラマ、世代研究を中心に執筆。著書に『そろそろ日本の全世代についてまとめておこうか。』(青月社)『昭和歌謡出る単 1008語』(誠文堂新光社)がある。CREA WEBにて「田中稲の勝手に再ブーム」を連載中。「文春オンライン」「8760bypostseven」「東洋経済オンライン」ほかネットメディアへの寄稿多数。

安井順平が完全に“武藤泰山”!

『民王R』第6話©テレビ朝日
『民王R』第6話©テレビ朝日

 総理大臣と一般市民が入れ替わる! 遠藤憲一主演のドラマ『民王R』(テレビ朝日系/毎週火曜21時)。今回の入れ替わりさんはお笑い芸人だ。ほんまかいな!

 お笑いコンビ「ミサイルキック」堀田豊(安井順平)と入れ替わってしまうのだが、この堀田の状況がかなり切ない。2年前、ガードレールへの当て逃げをしてしまい、SNSは大炎上、無期限謹慎をくらってしまったのだ。

 復帰はしたものの1年たっても仕事はなく、相方の山倉(おいでやす小田)に解散を持ちかけていた。その期日まであと10日、という時に運悪く入れ替わりが起こったというわけなのでR(アール)…。

 しかも、今回の入れ替わりを演じる堀田役の安井順平が素晴らしい。武藤泰山を演じる遠藤憲一を、静かに自然に真似ている。ガミガミ声を張らない武藤泰山を、あそこまで「ぽい」と感じるのはすごいことじゃないかと思うのだ。

 お笑い用のブルーの全身タイツに身を包み、「泰山に乗り越えられぬ山はない(キリッ)」と呟くあの佇まい。完全に泰山!!

 さらに、摩訶不思議な点がボケ、それを指摘するのがツッコミ。理屈が分っても簡単にできるものではない。百条委員会よりすごい空気の中でネタをしなければならない――などなど、漫才の基本、そしてハードルの高さがとても分かりやすく描かれていた。

「俺も思いっきり謝って、山倉の横で漫才したいなあ」

 そうつぶやく泰山の顔の堀田。そして、山倉に「一からやり直したい」と土下座をして頼む堀田の姿の泰山に、

「俺ら15年かけて売れたやん。また一から? ……また15年かけたらええやん」

という山倉。やだもうコンビ愛に泣ける!

 ちなみに、相方の山倉を演じるおいでやす小田は、すっかり味わいぶかい役者さんになられた。余談なのだが、私は小田さんが世に広く認知される少し前に、一度インタビューをしたことがある。とても滑舌がよく、お喋りの速度もちょうどで、文字起こしがものすごくスムーズにできたので、とてもよく覚えている。

 あの分かりやすい、伝わりやすい彼の声を思えば、現在の活躍はもう大納得である。

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