吉高由里子が主演を務める大河ドラマ『光る君へ』（NHK総合）。平安時代中期を舞台に紫式部の生涯を描く。道長は摂政と左大臣を辞し、まひろは「源氏物語」を書き終えた。まひろは、娘・賢子のことを道長に話す…。今回は、第45話の物語を振り返るレビューをお届け。（文・苫とり子）【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール：苫とり子】

1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

まひろ（吉高由里子）の旅立ちのとき

　摂政と左大臣を辞し、政界から事実上の引退となった道長（柄本佑）。その姿を見届けたまひろ（吉高由里子）は自身も「源氏物語」を書き終える。『光る君へ』第45回では、それぞれの選択が描かれた。

　まひろは里帰り中、娘の賢子（南沙良）から宮仕えをしたいという相談を受ける。かつては自分よりも他のことに夢中なまひろに反発していた賢子。そんな彼女が、母親と同じ道に進もうとまで思えるようになったのはやっぱり惟規（高杉真宙）の一件が大きかったのだろう。

　まひろも年若き頃は父・為時（岸谷五朗）に反発していたが、宣孝（佐々木蔵之介）が「父上も人」だと教えてくれた。同じように賢子も、惟規の死に動揺するまひろを見て、母親も複雑な感情を持つ“人”だと思えたのではないだろうか。そして母親という生き物ではなく、1人の人間として見た時に尊敬できる面もあったのだと推測する。

　双寿丸（伊藤健太郎）がいなくなり、失恋したのも大きい。彼を忘れられない賢子は夫を持ちたいとも思えず、とは言ってもこのまま母親に頼りきりなのは気が引けるので働こうと思ったのだ。そんな娘をまひろは頼もしく思う。

　そして賢子はまひろの紹介で太皇太后になった彰子（見上愛）に仕えることとなった。「そなたに似て賢そうな顔をしておる」と賢子を快く迎え入れる彰子。その言葉通り、2人並んだまひろと賢子は驚くほどよく似ていて、どちらも聡明で美しい。

「まひろの子ゆえ賢い子に間違いない」と宣孝がつけてくれた名前の通りに育ってくれたことが、彰子の言葉で実感されてまひろも嬉しかったはずだ。

　娘が独り立ちし、ずっとそばで仕えてきた彰子も何も心配がいらないほど立派な女性となった。道長との約束も果たし、すべての役目を終えたと思ったまひろは長年の夢だった旅に出る決意を固める。