まひろと道長の別れーー。
そんなまひろの選択に断固として反対するのが、道長だ。妻である倫子(黒木華)の前では「太宰府への使いの船があるゆえ、それに乗っていくのがよかろう」と言っていた道長だが、それは本心ではなかった。
すぐにまひろの部屋にやってきた道長は、御簾を下ろす。まひろとじっくり話すためにひと目につかないようにしただけなのかもしれないが、その姿は必死にまひろを外に逃さないようにしているようにも見えた。
2人が出会った時、飼っていた鳥が逃げていたまひろに、「鳥を鳥籠で飼うのが間違いだ。自在に空を飛んでこそ鳥だ」と言っていた道長(当時は三郎)。だが、今の道長はまひろという鳥を、自分の目の届くこの内裏という鳥籠に捕まえておきたくて仕方がない。
でも、まひろがここにいたとしても道長と結ばれることはないし、政で世の中を変えようとする彼を支えるという役目も終えた今、2人を繋げるものはもうないに等しかった。
それでも道長は「お前とは…もう会えぬのか?」とまひろの手を取り、縋るような目を向ける。しかし、まひろの決意は固く、「会えたとしても…これで終わりでございます」と道長の手をつき返し、鳥籠から飛び立っていった。
その後、内裏に上がった賢子を柱の陰から見守っていた道長の苦虫を噛み潰したような表情が印象的だ。予感はこれまでもあったが、改めてまひろに賢子が自分の娘と告げられて道長は一番大切な人のために何もできなかったことを悔しく思ったのではないだろうか。