正妻の倫子(黒木華)から見た道長の最低ぶり
まひろを失った道長の落胆ぶりは激しく、そのまま出家を決意する。「体も衰えた。休みたい」とその旨を倫子に伝え、後日、静かに涙を流しながら髪を剃り落とされる道長は、失恋して髪を切る女子にしか見えず、申し訳ないが少し笑ってしまった。「殿御は皆、かわいいものでございます」というまひろの言葉が思い起こされる。
この物語をまひろと道長のラブストーリーとして見ると、まひろにとことん一途で失恋して自暴自棄になっているとも言える道長はたしかに可愛い。だが、倫子の目線に立つと一度印象が変わる。
妻である自分よりも愛している人がいるというだけでも許しがたいのに、その一挙一動に振り回されて、現世まで捨てた夫を受け入れられる女性がこの世にいるのだろうか。
「私と殿も2人で旅に行きたいわねと語り合っておりましたのよ」と、まひろに語っていた倫子。完全なマウントだが、倫子にとってようやく勤めを終えた道長と夫婦でゆっくり余生を過ごすということが唯一、優越感を感じられるものだったのだとするならば、あまりにも切ない。