七苗(川口春奈)とコウタロウ(松下洸平)の距離感
そして、コウタロウと七苗のラストもグレーのままだった。コウタロウは、芝田悠斗として生きていくことを決めているため、神戸の不動産会社の副社長として働き続けるのだろう。七苗とは遠距離になるし、「もう一度、付き合おう」などというはっきりした言葉はない。
それに、神戸で暮らしていくなかで、コウタロウの芝田悠斗としての記憶がどんどん戻ってきて、それがコウタロウとしての記憶を上回ってしまったら、どうするのかもわからない。
問題は数え切れないくらいあるけれど、幸せとは“わたしはわたしのままでいい”と思える日々を積み重ねていくこと。30歳の誕生日を迎えた日、2人が交わした「よかったら、一緒に(誕生日を)お祝いしてくれませんか?」(七苗)、「そんなの、いくらでも」(コウタロウ)というやり取り。
家族と、大事な仲間と、そして愛するコウタロウに囲まれて、誕生日を祝ってもらったあの時、七苗は確実に“わたしはわたしのままでいい”と思えていたはず。