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傷ついてもいい、と思えるくらい好きな人

『9ボーダー』第7話より ©TBS
『9ボーダー』第7話より ©TBS

 「せっかく、理由探してたのに。あなたを受け入れない理由。なんで超えてくるの?」

 元夫の前ではなかなか素直になれなくて、強気な自分ばかりを見せてきた六月。不倫をされた挙句に離婚を言い渡されたときだって、すがりついて泣くようなか弱い女を演じることはできなかった。

 最後まで、“あなたなんていなくても生きていけるのよ”と言わんばかりの笑顔を見せることしかできなかった六月が、朔の前では素直な自分でいることができている。それはきっと、朔がどこまでもまっすぐな人だから。

 「いいんですか? そんなこと言われたら、もっと好きになりますよ」

 そう言ったときの朔の顔があまりにもピュアで尊くて。もう、最悪この人になら騙されてもいい。どこまでも信じて、とことん好きになってしまえばいい。傷つくことを恐れていた六月が、傷ついてもいいから……と思うくらいに好きな人と出会うことができた。

 恋をするって、楽しいことばかりじゃない。でも、どうしようもなく幸福な気分にさせてくれるのも、また恋なのかもしれない。

(文・菜本かな)

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