気になる『9ボーダー』の“終わり方”
コウタロウが好きなのは、七苗だと思う。そして、神戸にいるときの自分よりも、おおば湯のある商店街にいるときの自分の方が好きだった。でも、守らなければならないものがあるのは、神戸にいる自分。会社のことも、家族のことも、百合子のことも。柴田悠斗として守らなければならないものがたくさんあることに気づいたからこそ、「俺はこっちの生活に戻ろうと思う。柴田悠斗に」と七苗に伝えたのではないだろうか。
「どうしよう、大好きだった……」
コウタロウとの電話を切ったあと、そうつぶやいた七苗。この瞬間、コウタロウが世界から消えてしまったような気持ちになって、涙が止まらなかった。コウタロウのことを想うからこそ、平気なフリをしてしまう七苗も切ない。
別れたとしても、最終回では結ばれる…というのがラブストーリーの王道ではあるが、『9ボーダー』の場合は“別れたけど幸せ”という感じの終わり方でも面白いなと思う。