福士蒼汰の芝居に宿る”稀有な説得力”とは? なぜ全員を応援したくなる? ドラマ『アイのない恋人たち』考察&感想レビュー
text by あまのさき
ドラマ『アイのない恋人たち』(ABCテレビ・テレビ朝日系)が佳境を迎えつつある。”愛”、”Eye”、”I”、それぞれ「アイ」が欠けた男女7人の恋模様の行方は?今回は、物語の内容を振り返りながら主演の福士蒼汰を中心に本作の魅力に迫るレビューをお届け。(文・あまのさき)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】
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【著者プロフィール:あまのさき】
アパレル、広告代理店、エンタメ雑誌の編集などを経験。ドラマや邦画、旅行、スポーツが好き。
大人になってもままらない感情を隅々まで描く
「東京という街は、いつまで夢を見ることを許してくれるのか」。福士蒼汰演じる久米真和が、抑えた声で言う。そこにあるのはまだ見ぬ未来への希望ではなく、諦め時を見失って持て余した夢への惰性。もはや夢というよりも呪縛というほうが近いかもしれない。
真和は子どもの頃から夢に見た脚本家を目指しているが、いまだ芽が出ず、アルバイトをしながら生計を立てている。マッチングアプリで知り合った女性と関係をもっては3回会ったら連絡を断つということを繰り返す。
真和の高校時代の同級生・淵上多聞(本郷奏多)は、一流企業のサラリーマン。恋愛経験がほとんどなく、童貞であることをコンプレックスに感じている。もう1人の同級生・郷雄馬(前田公輝)は警察官で、多聞同様、安定した職に就いてはいるものの、女性を見る目がなく最近も婚約破棄をされたばかりだ。33歳、三者三様に行き詰っている感が否めない。
15年ぶりの再会を果たした3人は、多聞の会社の後輩・冨田栞(成海璃子)と、彼女が行きつけのブックカフェのオーナー・今村絵里加(岡崎紗絵)、栞と同じくブックカフェの常連である近藤奈美(深川麻衣)と合コンをすることに。当日になって雄馬と奈美以外の4人が欠席するなどのドタバタはあったものの、6人に真和の高校時代の恋人・稲葉愛(佐々木希)を加えた7人の関係がはじまった。