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ふわふわして見える真和が時おり見せる漢気

佐々木希、福士蒼汰 、岡崎紗絵 【『アイのない恋人たち』番組公式インスタグラムより】
佐々木希福士蒼汰 岡崎紗絵 アイのない恋人たち番組公式インスタグラムより

真和は合コンを欠席後、マッチングアプリで絵里加と知り合う。固定の恋人を作らない真和と、すべてに対して真面目な絵里加は対照的なようだが、真和の脚本を読んで泣いた、つまり彼のつくる物語を心から好いてくれているという1点で繋がる。

この出会いが後押しとなったかのように、連続ドラマの脚本を担当するという真和の夢が実現。ところが、付き合うには肉体関係が必須と考える真和がことに及ぼうとしたとき、絵里加が発した「仕事と私、どちらが大事か」という問いがきっかけでケンカに発展してしまう。真和はせっかく掴んだ連ドラの脚本も途中で投げ出してしまった。

3人の男性のなかでもっともふわふわした生き方をしているように見える真和だが、要所要所では漢気を見せる。

例えば真和の高校時代の恋人・愛が、別れた旦那のもとで暮らす息子に会いに行ったときのこと。母親を拒む息子に、自分がかつてどんなに愛のことが好きだったか、そして当時の愛がどれほど素晴らしい人だったかを話す。脚本家という職業柄か、丁寧に紡がれた言葉。いますぐには息子の心に届かずとも、静かに染み渡っていつかきっと理解してくれる日がくるだろうことを予感させる。

また、絵里加が引きこもりの兄に殴られたことを聞き、彼女の家へ駆けつけ、兄の部屋の扉を強く叩いたときもそうだ。自分も人に胸を張れるほどの状況ではないことを臆せずさらし、そのうえで少しずつでも変わっていけばいいと諭す。部外者にしては立ち入りすぎではあるものの、無事に扉は開かれた。

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