新たな「アンチヒーロー」の誕生

　裁判後、元判事の瀬古（神野三鈴）も告発会見を開き、自らの過ちを謝罪すると同時に、自ら関わった裁判についての再検証を願う。

　かくして伊達原は起訴される。しかし、明墨が示した証拠が偽造であることを、赤峰と紫ノ宮は気づいていた。青山（林泰文）に偽造書類を作らせ、書類に忍び込ませていたのだ。2人ともいつの間にか既に“ダークヒーロー”のやり口を熟知していた。

　伊達原は自分の裁判において、ただ「記憶にない」と繰り返していた。倉田（藤木直人）は証言台で話す。伊達原はもみ消した映像を見るまで志水が犯人だと確信していたこと。そして、行き過ぎた正義感が暴走した結果である、ということを。

　同じく証言台に立った明墨は、伊達原の幸せは志水家から奪った人生の上に成り立っていたものだと投げかける。すると伊達原は豹変し、「この世は奪い合いなんだよ！」と本音を吐露する。

　明墨はここで“勝利”を確信するが、それだけで終わらないのが明墨という男だ。再び法廷での大演説が始まり、「人は人を裁くことが“快感”」いう名言が飛び出す。「散々、法を犯してきた君がそれを言うとは」とその弁舌を嗤う伊達原に、罪を認めるまで監視すると告げ、「ともに地獄に堕ちましょう」と言い放つのだった。

　その後、伊達原の不正が世間に公表された。志水の再審請求も決定し、釈放される。娘の紗耶（近藤華）とも再会を果たし、緑川は桃瀬の墓前で報告する。

　倉田は虚偽証言の罪で勾留され、紫ノ宮が弁護人を務めていたが、解任したいという。理由を問うと、「娘に助けられるなんてカッコ悪い」とはにかんで笑い、出直しを約束する。緋山も自分の罪を受け入れ、償った後の人生を真っ直ぐに行きることを誓う。

　最後に赤峰は明墨に問う。なぜ自分を受け入れてくれたのか、と。

　明墨は、赤峰が自分の見込んだ通りの男だったとこれまでの働きに感謝すると同時に、赤峰が自分の正義のためなら人を殺せる人間だからだと答える。そして赤峰は「不条理と戦うためには“アンチヒーロー”が必要なのかもしれませんね」と話しながら、明墨の前でこう宣言するのだ。

「あなたを無罪にして差し上げます」