「明墨vs伊達原」の最終ラウンド

　伊達原は返す刀で、明墨の事務所を訪れる。嫌味タップリに挑発しまくった上、「“弁護士”と呼ぶのはこれで最後かなぁ」と言い放つ。それは、「弁護士資格が剝奪される」という意味か、それとも「何かしらの容疑で逮捕する」という意味なのか…現時点では不明だ。

　しかし帰りの車で伊達原は、同行していた緑川に、「明墨はやれることは全てやる優秀な検事だった。私に似ている。だからこそ考えていることも分かる」と話す。やはり伊達原は明墨を評価しており、敵に回すと怖いと知っていたのだ。

　「江越」を名乗っていた後藤を、思いがけないほど早く発見できたことで、やや勇み足になり、思わぬ落とし穴にハマってしまった形の明墨。冤罪の証拠となり得る盗撮映像も破壊されてしまい、志水の再審が遠ざかった印象だが、ここからどう反撃に出るのか。

　次回の予告映像では、生前の桃瀬が「明墨君へ、志水さんを救って」と手紙を残していたシーンや、逮捕された倉田が「もう巻き込むな！」と絶叫するシーン、赤峰と紫ノ宮も感情的に叫ぶシーンも描かれ、いよいよ物語がクライマックスに近付いてきていることを感じさせる。

　これまで発表されたキャストの中で、唯一、役名がなかった迫田孝也だったが、事件のカギを握る「江越」役として満を持して登場。

　『VIVANT』と同様に、正義の面を被った悪役だ。“サプライズ”こそなかったものの、キャラクターに合った配役といえるだろう。ちなみに迫田は、『VIVANT』の山本役では、自殺に見せかけて殺されるという最期を迎えたが、“今回はいったい、どんな酷い目に遭うか”という視点でも、考察の対象になりそうな役回りだ。

　一方で、検察トップとして、伊達原は“我が世の春”とばかりに権力を誇示し続けている。全力で明墨を潰しに来ている伊達原を向こうに回し、明墨に打つ手はあるのか…。圧倒的に伊達原優位な「明墨vs伊達原」の最終ラウンドの行方に注目したい。

（文・寺島武志）

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