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「正しいことが正義か」「間違ったことが悪か」
最終回に待ち受ける運命は

『アンチヒーロー』第9話より ©TBS
『アンチヒーロー』第9話より ©TBS

 パラリーガルという全く予想外のところから裏切り者が現れ、明墨逮捕という衝撃の展開で終わった第9話。「正しいことが正義か」「間違ったことが悪か」という予告映像で示される意味深なタイトルとともに、明墨や志水の運命はどうなるのか…。最終回は怒涛の展開となることだろう。

 しかしながら、本作を第1話から振り返れば、“アンチ”と呼ばれながらも、明墨は何一つ、法律違反は犯していなかった。明確な違法行為を犯しているのは、志水の無罪を裏付ける証拠となり得る映像を破棄した伊達原。それに追従した倉田である。
 
 他にも、賄賂を受け取った上で、証人買収を知らないフリをし、恣意的な判決をしていた元判事の瀬古。緋山を罰するために証拠を捏造した検事の姫野(馬場徹)。さらには息子・正一郎(田島亮)の傷害事件で証人買収を行い、松永(細田善彦)に罪をなすりつけた衆議院議員の富田(山崎銀之丞)…。

 揃いも揃って、国家権力をバックにした人物ばかりだ。さらに言えば、この中で唯一、伊達原だけが、まだその罪の報いから免れ続けている。

 明墨は、その調査の過程で、事務所のメンバーを学生と装って大学内の研究室に潜入させたり、自らが相手方代理人であることを隠し、証言を得ようと証人に近付くなどの手法を用いている。“モラルに反する”という見方もあろうが、あくまで“グレー”といえる手法で、証拠集めをしている。この事実を並べると、どちらが“アンチ”なのか、分からなくなってくる。

 主演の長谷川博己自ら「問題作」と語ったポイントは、ここにあるのだろう。

 最終回で描かれる明墨の裁判は、いわば“死刑囚の命vs国家権力”の代理戦争の様相を呈している。そして、全ての謎が明らかにされる。「アンチヒーロー」はヒーローになれるのか、それとも検察の絶対的権力の前に屈するのか…。一瞬たりとも見逃せない最終回となりそうだ。

(文・寺島武志)

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