さらに混沌を増していくストーリー

狩山は、避難訓練を利用した脱獄の計画を実行に移すべく、元小学校教頭で、老いた受刑者の小野（小野武彦）の世話役に立候補する。さらにその企みを同部屋の野口（濱田龍臣）に明かし、協力を申し出る。

しかしその計画を知った灰谷が刑務官に漏らしていた。それは林の耳も入るが、林はあえて計画を実行させるように仕向ける。狩山の目論見を潰し、完全に制圧するためだ。

狩山と野口、そして認知症のフリをしていた小野も交えた、綿密かつ壮大な脱獄計画が実行される。野口が狩山を負傷させ、救急搬送される狩山。しかし救急車には林も乗り込んでいた。

一方、玲子は坂東組を訪れ、若松の写真を見せ、崩落事故で亡くなったことを知る。そして、その風貌が黒木と酷似していることで頭が混乱する。若松と黒木は、何らかの関係があるのだろうか、それとも、単なる“他人の空似”なのだろうか…。

狩山を運ぶ救急車の中で、定年間近でもある林が「狩山は刑務官人生で最も忘れられない受刑者となるだろう」という言葉を残したところで、第2話は終わる。その言葉の意味とは何か。それとも、一刑務官である林が、崩落事故にも関係しているのか。

第3話では、狩山が入院先からの脱走を試みる様子を映し出している。しかし、成功したとしても、脱獄囚として追われるだけであり、そう簡単に崩落事故の真相に辿り着けるとは思えない。逆に自分を追い詰める行動だとも思える。

しかし、信頼していた後輩や弁護士からも裏切られた狩山にとって、信頼できるのは自分だけだ。たった独りでの闘いが始まり、物語はさらに混沌としていく印象を残した。

（文・寺島武志）

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