木村拓哉と天海祐希の“攻めの演技”
予告映像では、これまで崩落事故、そして狩山に関わってきた人物たちの表情を捉えた画面が映し出され、「やはり俺は、間違っていなかった」という狩山の言葉で締めくくられている。
やはり焦点は、誰が何のために龍神大橋を崩落させたのかという点だ。
まず筆頭に挙がるのは、終始、怪しい動きを見せているのは榛名都知事だが、これは“ミスリード”なのではないのかという疑念が残る。自らマニフェストに掲げたビッグプロジェクトを破壊に導く動機が薄いからだ。仮に動機があったとしても、あまりにもデメリットが大き過ぎる。
そうなれば次に疑いの目が向くのは、帝和建設内部の人物ということになるが、そもそも200万円もの小切手をポンと用意できるのは、社長の磯田か常務の桑原くらいだろう。
さらに、弁護士の秋澤も事故の秘密を知り過ぎているという意味では怪しい。その風見鶏のような行動によって、狩山はおろか、南雲からも信頼を失った彼だが、法廷の場でどちら側に付くかによって、彼の本性が明かされていくだろう。
加えて、しばらく姿を“消した”刑務官の林(上川隆也)が、事件にどう関わっているのかも興味深いところだ。単なる定年間近の刑務官でありながら、都知事の榛名とも繋がりがあるという点に、違和感を禁じ得ない。妻を失い、隣の住民にも犠牲者を出した放火事件との関連も、未だ解明されていないままだ。
そして、本作の“準主役”といえる活躍を見せた黒木が、なぜこの事故に執着したのかも解明されるだろう。
事件の真相に迫るという意味では、大きな進展のない第8話だったが、木村拓哉と天海祐希に2人芝居を存分に楽しませられ、非常に見応えのある回だった。
2人とも、テレビドラマや映画で十分に実績のある俳優であることには異論を挟みようもないが、共に押し出しの強い“攻めの演技”をするタイプとあって、2人の感情の発露が、見事に噛み合っていた印象だ。
次回はいよいよ最終回。これまで狩山が追い続けた真実が暴かれ、その先に待つ結末を見届けるのが、今から楽しみで仕方がない。
(文・寺島武志)
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