一連の行動は秋澤への“テスト”だった
秋澤は、磯田を訪ね、狩山側に付くと明かす。しかし磯田は突然、今までの一連の行動は秋澤への“テスト”だったと話し、秋澤は“不合格”だったという。元キャリア官僚として、倒産寸前の会社を救ってきた磯田にとって「騙し合い」はお手のものだった。さらに磯田は、秋澤に「狩山にあなたの過去がバレなければいいですね」と不気味な予告を放つ。
本宮は、再審となれば、南雲が証言することを玲子に話す。
秋澤は狩山との面会の中で、ある過去を話す。裁判を諦めた依頼人に対し、「では、首をくくるしかありませんね」と捨て台詞を残し、その後、本当に自殺したというのだ。それ以来、彼は弁護士であるにも関わらず、人と話すのが苦痛となり、汗が止まらない体になってしまったのだ。狩山は「今まであなたを誤解していた」と秋澤に謝る。
玲子は最後の出勤を終える。看護師としても人間としても人望のあった彼女は、惜しまれながらも最後まで笑顔で、聖修大学病院を後にする。そして帰宅すると、夫の書斎から、あるスケッチブックを見付ける。
狩山の裁判が始まる。傍聴席には、帝和建設の桑原常務(岩谷健司)、龍神大橋建設の1次下請業者である坂東組の坂東社長(北大路欣也)などといった事故の関係者のみならず、黒木や半田、そして刑務官の林(上川隆也)も姿を現す。
玲子は病院から抜け出し、傍聴席に来なかった磯田を訪ね、スケッチブックを渡す。そこに描かれていたのは他ならぬ龍神大橋のイラストだった。
裁判の中で秋澤は、事故が意図的に引き起こされたことを指摘していく。証言台に立った狩山は、脱獄したことを反省するとともに、事故に関しては大きな嘘をついていたと言い、自身の「橋」への思い入れを語り出す。そしてその思い入れこそが、この事故の真実を追及する動機だったと話す。
後日、既に刑務官を定年退職した林が面会に訪れる。「なぜ私のせいにしなかった?」と語る林だったが、狩山がなぜ自分を逃がせたのかを尋ねられると「カネが欲しかった」とだけ答える。そのカネは、自宅への放火事件の遺族に渡したという。
一方、磯田は東京都知事の榛名(賀来千香子)を訪ねる。榛名が言った「狩山は最高の人材」という言葉の意味を説いてみせ、榛名を揺さぶる。
判決において、崩落事故については再審請求が通る。