ホーム » 投稿 » ドラマ » 結局、黒木は何がしたかった…? ハッピーエンドとは言い切れないワケ。『Believe 君にかける橋』最終話考察レビュー » Page 4

狩山が提示した仮説

天海祐希
天海祐希Getty Images

 ここで一気に場面が切り替わる。獄中にいたのはなんと磯田。そこに出所した狩山が面会に訪れ、崩落事故の関与を認めたことを感謝する。龍神大橋の建設も帝和建設が引き続き、工事が再開したことを報告する。
 
 ここで狩山は1つの疑問をぶつける。建設寸前になって、突然、建設費が削られ、設計変更に至った裏を磯田に問い質す。狩山は、再開発グループの会社の1つが資金難に陥り、計画が頓挫しつつあり、榛名都知事による杜撰な予算計画が指摘され、訴えられることが予想される中、“偶然に”橋を崩落させ、批判の矛先を変えさせたという仮説を披露する。

 しかし磯田は、決して榛名都知事の名を出さず、責任を被る。磯田は「人はカネや地位のために生きる」と信じる男であり、事あるごとに「夢」を語る狩山を疎ましく感じていたのだ。狩山は会社のために、虚偽の証言をしたことを悔いるが、磯田を信じていたことは後悔していないと言い残す。磯田は独り、「そういうところが嫌いなんだよ」と呟くのだった。

 自宅に戻った狩山に、治療が進んだ玲子が旅行に誘う。碓氷峠のめがね橋を目の当たりにし、橋を歩きながら、未来について語る2人…。

 しかしそれは幻だった。玲子は既にこの世にはいなかったのだ。最後の手紙を読み、2人の愛の巣となるはずだった家の設計図を紙飛行機にして飛ばす狩山。そしてラストシーンは、1人の「橋屋」に戻り、現場を引っ張る狩山の姿だった。

1 2 3 4 5
error: Content is protected !!