名作学園ドラマ『ごくせん』を彷彿とさせるクライマックス
そして加賀美が西谷を助けに行った先で詐欺師集団と交わしたのが冒頭のやりとりだ。「そいつの担任だ」と宣言し、華麗な身のこなしで敵を倒していくシーンは仲間由紀恵主演のドラマ『ごくせん』(日本テレビ系、2002~2009)を彷彿とさせた。
また教師陣も、校長の東堂(水野美紀)に頭が上がらない教頭の土橋(永野宗典)、事なかれ主義の国語教師・溝口(坂口涼太郎)、理想に行動が伴わない英語教師・光井(志田未来)、暴力的で時代錯誤な養護教諭・坂井(MEGUMI)と個性的なキャラクターが揃っている点も同作と重なる。
ただ大きく異なるのは加賀美が、仲間演じる熱血で肉体派のヤンクミとは対照的なキャラクターだということ。加賀美は効率重視の頭脳派であり、詐欺師集団に勝てたのもAIスーツのおかげである。
しかし、技術だけで人は救えない。「昔に戻りたい」と願う西谷に、加賀美はタイムマシーンの開発が全く進んでいないことを告げた上で、「俺たちにできるのは進むことだけだ。昔に戻りたいという未来を作らないために今問題と向き合うべきだ。本当に言いたいことを本当に伝えたい相手に今ぶつけることだ」と訴えかける。
プロデューサーの江花松樹が「コンセプトは“学校にイーロンマスク”。でも、AIよりも最後はやっぱりヒューマンでしょ」とコメントしているように、西谷の心を動かしたのはAIじゃなく生身の人間である加賀美の言葉だった。
2話以降も冷めているようで心に熱いものを持つ加賀美が希望を持てずにいる生徒たちを変え、そして自身も教育現場には人の温かみが必要であることに気づいていくストーリーになるのではないだろうか。