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威厳のある大人と自信家の子どもっぽさを体現した山田涼介

『ビリオン×スクール』第11話 ©フジテレビ
『ビリオン×スクール』最終話 ©フジテレビ

 そんな状況下で生まれた教師・加賀美零は「すべてAIに任せてしまえばいい」という考えのもと、完璧なAI教師を作ろうとしていた。だけど、ティーチのアドバイスに従ったからといって上手くいくことばかりではなかった。問題解決のきっかけにはなったかもしれないが、最終的に生徒の心を動かしたのは加賀美の言葉や行動だ。

 子どもは目の前にいる大人が上辺だけではなく、本当に自分と向き合おうとしているかをちゃんと見ている。それが、ゼロ組の生徒たちから加賀美が教わったことだ。そして、生徒たちと向き合う中で加賀美自身も人として成長していった。

 赴任してきたばかりの頃、加賀美が「年齢も知識も能力も社会的立場も納税額も何もかも圧倒的に下だ」と生徒に自分から挨拶しようとしなかったことを覚えているだろうか。しかし、最後の授業で加賀美は「教え合うことに下も上もない。年齢も知識も能力も社会的立場も納税額も関係ない」と訂正する。

 加賀美がAI教師開発のためにこの学園に潜入した結果、得たのは「完璧な教師などいない」という結論だった。誰もが教師であり、生徒であって、答えはみんなで導き出せばいい。何かと完璧であることが求められがちな現代で、加賀美が導き出した答えはシンプルなようで胸にグッと響く。

 それは加賀美を演じる山田の演技に説得力があるからだろう。天才的な頭脳で革命的な開発をしてきたカリスマCEOとしての威厳と、自信家で子どもっぽい一面を同時に表現できたのは山田だからこそ。

 かつ、加賀美が生徒と向き合う中でより人情味を帯びていく過程をグラデーションの演技で見せてくれた。最後の授業も愛に溢れており、生徒たちからは嗚咽まじりの泣き声が聞こえてくる。山田も涙を堪えきれない様子で、いずれも演技ではなくリアルな反応に見えた。

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