山田涼介の“生の反応”を楽しむ…視聴者を釘付けにするライブ感の秘密とは？ドラマ『ビリオン×スクール』第2話考察レビュー

随所で印象的な表情を見せる松田元太から目が離せない

　雪美たちの溜まり場になっていたビルを解体するという強行突破に出た時は思わず笑ってしまったが、そこでひめ香に零が「俺は自分が一番大事だ！お前もそうあるべきだ！」と主張する場面は思わずグッとくる。

　そんな零に背中を押されたひめ香は雪美たちに“いつでも死ねるように”とポケットに忍ばせていたカミソリを向け、「私を守るためにあなたたちを殺すから！」と立ち向かった。

　一花はそんな彼女のアフターフォローも忘れない。ひめ香を家まで送り届け、「これからはなんでも話して」としっかり目を見て伝える。零の少々強引で熱い姿勢と、一花の細やかな気遣い。どちらが欠けても足りず、両方あって初めて生徒の心に届くのだろう。

　なお、ひめ香役の上坂樹里は2021年にデビューしたばかりの新人。NHKのスペシャルドラマ『生理のおじさんとその娘』ではヒロインに選ばれ、原田泰造演じる「生理に詳しすぎるおじさん」と有名になった父親に複雑な思いを抱く娘を好演した。

　彼女は感情を爆発させるシーンで真価を発揮し、今回もひめ香の苦しみを伝える感受性の高い演技で心を揺さぶってくる。特に泣きの演技は素晴らしく、今後も楽しみな俳優だ。

　また今回は松田元太のさりげない演技も光った。松田演じる直斗はゼロ組の中でもとにかく目立つ生徒で、雪美たちとつるんでいる一軍の生徒だが、どこか無理をしている節がある。ひめ香がいじめに遭っている時も一人だけ苦々しい表情を浮かべていた。

　この伏線とも言える松田の演技がいずれ回収される時がくるだろう。引き続き、注目していきたい。

（文・苫とり子）

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