ブレイク筆頭株・山下幸輝の好演
天珠を演じた山下幸輝は、2020年に小池徹平や溝端淳平らを輩出した「ジュノンスーパーボーイコンテスト」でファイナリストに選ばれたのをきっかけに芸能界入り。2022年のドラマ『君の花になる』(TBS系)では劇中に登場し、実際に期間限定のボーイズグループとしてデビューした8LOOMの明るく面倒見の良いメンバー・小野寺宝を好演した。
『最高の教師 1年後、私は生徒に■された』(日本テレビ系、2023)のクロスオーバー作品『最高の生徒〜余命1年のラストダンス〜』(同局)では、畑芽育が演じるヒロインの片思いの相手を演じるなど、早くも数々の作品でメインを張るブレイク筆頭株の一人だ。一見明るいが、胸の内に傷や葛藤を秘めた演技が印象深く、今回も自信に満ち溢れた態度の中に天才児ゆえの苦悩を持つ天珠の二面性を表現した。
そんな天珠の思いを知った零は、自身がCEOを務める加賀美グループの開発現場に彼を連れていく。加賀美グループでは透明人間になれる光学迷彩のマントを開発しており、零は父の治(市村正親)から「失敗は許されない」と言われていたが、高学歴の研究員が集まっても開発は一向に進んでいなかった。
だが、零は「失敗は許されない」という治の言葉の本当の意味を理解していたのだ。それは何度失敗してもいいから、最後には必ず成功させろ、ということ。零は失敗を恐れる天珠に「自分の未熟さを認めて学べ。そして堂々と失敗して堂々と成長しろ。まだ何者でもないお前が失敗を恐れるなんて100年早い」と告げる。零の言葉は天珠だけではなく、その場にいる研究員たちにも力を与え、見事開発を成功させた。
その後の零と治による親子の会話も良かった。厳格で頭の固い父親かと思いきや、治は不器用なだけで零の成長を温かく見守っていたのだ。