志田未来&山田涼介の芝居合戦
吹奏楽部の部費を盗んだのはもちろん直斗ではなく、光井ひかる(志田未来)の元教え子である嶋沙里奈(工藤遥)だった。
光井といえば、「生徒たちには愛が必要」という熱い想いを持っており、少々理想主義が行き過ぎているところもある教師。自身が高校の時、生徒思いだった担任の先生みたいになりたいという気持ちが強く、現役の学生はもちろん卒業生の相談にも親身に乗っていた。
けれど、週の労働時間は法定時間を悠に超えており、過労は必至。バーの経営が上手くいっていないという沙里奈のために、光井はお金まで渡していた。沙里奈がお金を盗んだところを目撃していたが、それでも理想の先生像に囚われ、真実を打ち明けられないでいる。
そんな光井に、零は「理想を下げろ」と語りかける。それは零自身が亡くなった母から言われたことだった。理想を追い求めること自体は良いことだが、それに自分が押しつぶされてしまったら元も子もない。
「届きそうな理想を追い続けることで、いつかは本当の理想に近づける」「安心しろ。高すぎる理想と比較しなければ君は十分良い教師だ」という含蓄のある零の言葉は光井の心にしっかりと届いた。
教師だって人間だ。自分の手を離れてまで、ましてや自分を都合よく扱う生徒にまで心を割く必要はない。光井は「そのクソみたいな人生、自分でなんとかしなさいよ!」と一見突き放しているようで、愛ある叱咤を沙里奈に飛ばす。
『探偵学園Q』(日本テレビ系)で共演した当時はまだ14歳だった山田と志田。そんな二人が時を経て、大人の深みを増した芝居合戦を見せた。