ゼロ組が作られた本当の理由
自分の居場所はもうどこにもないと思っていた雪美だが、そんなことはない。自分を強く見せるためだけにつるみ、本音で語り合うことなど一切なかった頃の彼らよりよほどいい関係になった。そして、それこそ真紀子がゼロ組を作った理由であることが明らかとなる。
雪美が死のうとしていた現場に駆けつけ、彼女を家まで送り届けた加賀美。そこで彼は“三者面談”と称し、自分の過去がきっかけですれ違ってしまった東堂親子と向き合う。
20年前、加賀美は真紀子の教え子だった。母親を亡くし、途中から学校に通い始めた加賀美を自身が担任を務めるクラスに明るく迎え入れた真紀子。しかし、実は彼女のクラスにはいじめがあり、被害に遭っていたのが絵都学園の元校務員・内巻雫(神木隆之介)だったのだ。
そんな彼をかばったことで今度は加賀美がいじめられるように。ただ彼は生まれつき知的能力が高いため、あくまでも冷静にいじめの証拠を集めていった。
真紀子はそんな加賀美からいじめの事実を突きつけられ、動揺しながらもきちんと問題に向き合おうと彼が証拠集めに使っていたボイスレコーダーに手を伸ばす。だが、不幸にも真紀子がいじめの事実をもみ消そうとしていると勘違いした加賀美は、思わず彼女から逃げようとして屋上から転落してしまったのだ。
その瞬間も録音されていたボイスレコーダーをのちに、見つけてしまった雪美。彼女は幼い頃から真紀子から「どんな時も自分に恥ずかしくない行動をしなさい」「困っている人に手を差し伸べられる人でありなさい」と言われて育ち、そんな母親のことを尊敬していた。にもかかわらず、真紀子が過去にいじめをもみ消したかもしれないことがわかり、疑心暗鬼になってしまったのだろう。
だけど、真紀子はいじめをもみ消そうとしていたわけじゃない。意図的ではないにしろ加賀美に怪我を負わせてしまった罪とも向き合おうとしていたが、加賀美の父に「全て忘れろ」と言われ、それ以上どうすることもできなかった。代わりに、いじめに気づけなかった過去を省みて、孤立した生徒に居場所を与えるべくゼロ組を作ったのだ。