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未だ残るゼロ組の問題

『ビリオン×スクール』第9話 ©フジテレビ
『ビリオン×スクール』第9話 ©フジテレビ

 そうして長い間すれ違ってきた親子の関係を修復すべく、加賀美は大胆な行動に出る。それは2人の前でわざと屋上から転落すること。その瞬間、真紀子は咄嗟に手を伸ばし、加賀美と一緒に屋上から落ちるが、下にはあらかじめ光学迷彩透過布で覆われたマットが敷いてあり、二人は助かる。加賀美は真紀子がいざという時は身を程して自分を守ることがわかっており、その姿を雪美に見せたかったのだ。

 そして加賀美は雪美に「人間である限り、過ちを犯す。だが、たった一つの過ちで、その人の全てを否定する必要はない。信じてた言葉や感じた感情まで、否定する必要はない。その人を好きだった自分まで、否定することはないんだ」と語りかける。

 一度でも間違えば、叩いてもいい人間だと判断され、総攻撃に遭う時代。大きな器で人を許し、やり直す機会を与える加賀美の言葉は雪美たちと同じ10代の視聴者だけではなく、幅広い年齢層の視聴者に響いたのではないだろうか。

 もちろん、自分の過ちを心から反省したからといって、そんな簡単に許してもらえるわけじゃない。たくさんの人を傷つけてきた雪美たちにはまだまだ試練が残されており、ゼロ組の生徒たちから次々と「東堂さんと城島くんがいるなら文化祭には参加しない」という声が上がるのだった。

 そんな中、加賀美がAIに頼らなくなったことでティーチ(安達祐実)が暴走を始める。最終回も目前に迫る本作。ラストは全員が更正するも未だ心が一つになっていないゼロ組の問題と、加賀美がこの学園にやってきた本来の目的であるAI教師の開発に向き合うこととなるのだろう。

(文・苫とり子)

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