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昔の実写化では「ありえない」と思っていた設定が妙にリアルなワケ

ドラマ『ブラック・ジャック』第1話 ©テレビ朝日・東映
ドラマ『ブラック・ジャック』第1話 ©テレビ朝日・東映

 そして高橋一生演じるブラック・ジャックは、想像以上に、人間味あふれるブラック・ジャックだった。笑顔も浮かべるし、冗談も言う。ピノコとのラブラブ度も高めだ。マンガの設定より若干ソフトだが、時々見せる高橋一生の表情は何度もマンガのブラック・ジャックと重なった。特に、ピノコを愛しそうに見るシーンなんて、「役者さんってスゴイな!」と感動したほどである。

 彼がソフトな分、山内圭哉、奥田瑛二、橋爪功など、揃いも揃った豪華不気味ベテランキャストが、ブラックな空気をザワザワと漂わせている。

 非情におどろおどろしくも美しい映像なのだが、昔の実写化では「ありえない」と思っていた設定やシーンが、妙にリアル。そういった意味では、原作から感じた神秘性、平成のモッくん(本木雅弘)バージョンに漂っていたパラレルワールド感はあまりなかった。

 なぜだろう? その理由は、山中崇演じる伊丹弁護士のセリフが教えてくれた。「でも、考えてみりゃ世の中マンガなんだよな。カルト集団と政治団体がべったりとかさ、真っ黒に塗りつぶされた公文書とか。ドリルで証拠文書を破壊ってのもあったな。マンガみたいな話で溢れかえってる」。

 大金をもらって闇医療をする存在を描いたドラマが、リアルに「いそう、ありそう」闇の臓器提供もありそう、安楽死も身近な問題となってきている…。なるほど、そんな世の中は、マンガよりマンガになっているのかもしれない。

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