「命を懸けても、命は捨てない」
佐竹に教わったレスキューの使命
結果的に救助は成功、優吾たちがSDMの指揮車両に戻ると、晴原が「20分後、おそらく10分程風が弱まる」ため、佐竹らの救助を行うことができると宣言。だが、これに対し優吾は不満気だ。なぜなら、晴原が「おそらく」という言葉を使ったから。気象を完全に読み切ることを求めた。
いやいや、予測不能の事態というのは起こり得るものだし、誰かの意思ではどうにもならないものを相手に100%の解析をし、断言することなんて不可能だ、ときっと観ている誰もが思ったことだろう。
でも、優吾が言いたかったのはそういうことではない。「命を懸けても、命は捨てない」、それがレスキューの使命であると、ほかならぬ佐竹から教わっていた。だからこそ、100%を求めるのだ。自分にも、相手にも。
“命を救うこと”に囚われていた晴原は、より正確な解析をするべく、なんと救助のヘリに同乗することを決意した。5年前の災害で大切な人=園部灯(本田翼)を失った晴原、灯のことを姉のように慕っていたいとこの優吾、そして灯の意思を次いでSDMを立ち上げた特命担当大臣・園部肇一(舘ひろし)。命の重みを知る人たち、それぞれの考え方に基づいた覚悟が交錯する。
佐竹らの救助は困難を極めたが、たった一瞬、針の穴のような隙間を縫って、なんとか成功する。これがSDMにしかできない仕事。なんという綱渡りだろう。
だからこそ、病院に搬送された佐竹に、優吾は言ったのだ。「使命感が暴走していた。無謀な行動をとる人はレスキューにはいらない」と。かつて自分の命を救ってくれた恩人に言うには、あまりにも冷たい言葉に聞こえる。だが、この冷たさは冷酷ではなく、“冷静さ”に由来する。それは命を守るために必要な、最大限の優しさなのだ。