形が整いつつあるSDM
今後の物語に期待大
その腕ではもう以前のように手術をすることは困難、自分でもわかっているはずだと続ける晴原は、ある意味、残酷だ。だが、早霧同様の絶望を前にしたとき、晴原はその淵から逃れるのではなく、それを味わい尽くすことを選んだ。
二度と戻らないものを諦めて今一度自分と向き合うには、強靭な精神力が必要だ。晴原は早霧に、医療に携わる者としての純粋な強さがあることを見抜いていた。
残念ながら「自分のキャリアに傷をつけさせない」などと、今まさに苦しむ患者やその家族の前で言ってしまえる志賀には、すでに失われてしまったもの。
思い返せば、研修の場で発せられた早霧の言葉の端々にも、命を救いたいという強い想いは表れていた。だが同時に、ゴッドハンドである自分にしか救えない命への固執も見られた。早霧はこれまで医師としての経験から纏ったものを削ぎ落す。その核に残ったのは、「命を助けたい」という思い。
早霧との対話は、“乗り越えた者”としてどこか飄々として見えていた晴原に、奥行きを感じさせるものとなった。出口夏希、水上恒司、仁村紗和という比較的若いキャストが揃うSDMメンバーの中に、夏帆が加わったことで緊迫感のギアがさらに1段階上がった。
主演として堂々たる風格を発揮する山下智久と、近年「silent」(2022、フジテレビ系)などで再注目を集める夏帆との演技合戦に期待が高まる。
結果的に、早霧の診断で原因不明の体調不良者はエコノミー症候群であったことが明らかになり、なんとか救命に成功。火災も無事に食い止めることができた。
灯の死にまつわる不穏な動きが気になるところではあるが、“命のバトンを繋ぐチーム”としてSDMの形が整いつつあることにワクワクする。この物語は、まだはじまったばかりだ。
(文・あまのさき)
【関連記事】
【写真】山下智久の魅力が詰まった写真を紹介。ドラマ『ブルーモーメント』劇中カット一覧
山下智久が「ドラマ界の真ん中」に必要な理由とは? ドラマ『ブルーモーメント』第1話考察&感想レビュー
山下智久との共演シーンに鳥肌…ドラマの質を引き上げる水上恒司の凄さとは? 『ブルーモーメント』第2話考察&感想レビュー