お世辞なし、容赦ないけど人間性で認め合う名コンビ、スズ子とりつ子
また、回を追うごとに冴えてきているのが、スズ子と茨田りつ子(菊地凛子)とのコンビネーションだ。
「じゃがいもみたいな顔」など辛辣な言葉をスズ子に投げかけながらも、その関係性は決して険悪になることがない。りつ子の毒舌とスズ子の明るいツッコミは、もはやベテランの漫才コンビのように安心感をもってみることができる。
「アンタ歌いたいんじゃいないの。なら、人の歌に感動してないで、歌いなさい」
「この世がどうあろうと、絶望に打ちひしがれようと、歌うことは生きること」
といったりつ子のストレートな物言いや、強烈な歌へのプライドに対して、スズ子が素直に感動し、自分の進むべき道に気づいたり、生き方を肯定するきっかけになるのが、なんともほほえましく面白い。また、逆も然りで、スズ子の歌の激しさが、りつ子の情熱に火をつける。
思い出せば、「ラッパを娘」を初披露した回、スズ子の歌唱を見て、憮然と「どうしようもなく下品ね」と呟いていたりつ子。それが、12月7日「大空の弟」の回の「ラッパと娘」では、りつ子がゆっくりと嬉しそうに口角を上げるのだ。スズ子を認め、心の底では応援しているのが口の端っこだけで伝わる! 菊地凛子、名演である。