2024年、スズ子と日本、どん底から這い上がるターンへ
さて、今後の展開で気になるのは、やはりスズ子と運命の人「村上愛助」の恋の行方だろう。12月は思わずニヤついてしまうようなラブラブっぷりが展開されていた。
愛助を演じるのは水上恒司。演技がうまい下手というよりも、水上の個性そのものから出ている独特の固さが、濃厚な戦中フレイバーを醸し出している。
愛助は、スズ子にファンレターを何通も書き、聖地巡礼をし、ついには家まで押し掛ける。水上の、目を見開いたときの表情に、常軌を逸した一途さが漂い、これがヤバいファンぶりを際立たせていた。「ブギウギ」は本当に、普通の男性が出てこない!
このストーカー顔負けのヲタぶりが事実だったかはわからないが、愛助のモデルとなった吉本穎右は、本当に笠置シヅ子の大ファンだった。また、シヅ子も「まるで米国俳優のジェームズ・ステュアート」と穎右に一目ぼれだったというから、真実はドラマ以上にドラマチックだ。
穎右は敗戦から2年後の1947年、病が悪化し亡くなってしまうが、それまではシヅ子との将来を見据え、早稲田大学を中退し、吉本興業東京支社で働いている。同居こそ解消するものの二人の仲睦まじさは変わらないので、ドラマでも、しっかりラブラブの二人を堪能したい。
そしてなにより、1月の「ブギウギ」では、日本の敗戦というどん底から、音楽と歌を通じて復興を果たす、スズ子と仲間たちの強くたくましい姿も見ることができる。立ち上がるエネルギーは、いつでもどこでも生み出せるということを、感じることができるだろう。
(文・田中稲)
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