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スズ子が思い出させてくれた
「コール&レスポンス」の尊さ

趣里、連続テレビ小説『ブギウギ』©NHK
趣里連続テレビ小説ブギウギ©NHK

もし、笠置シヅ子が生涯歌手を続けていたら……と思ってしまうが、

「もともと一本気の私なのですから、”何でも屋”になりきれるわけがありませんもの」(「婦人公論」1966年8月号)

という彼女の言葉を見ると、「もしも」を考えるのが野暮にすら思える。そして彼女は女優として、見事長く愛され成功を収めている。

ドラマもスズ子がの歌手引退ででラストを迎えるので、その後どんな人生を送ったかは、私たちの想像次第。けれど、あのお目目パチパチのクセや、「でんがな、まんがな」のコテコテな大阪弁、豊かな喜怒哀楽で愛され続け、幸せに過ごしたのは間違いないだろう。

ときにはハメを外し、茨田りつ子さんに例の喫茶店で「あなたいい加減にしなさいよ……」と怒られたりする姿が、ありありと目に浮かぶ。

「ブギウギ」が思い出させてくれたのは、歌の力と、好きなことを思いきりする、というシンプルな喜び、そして、コール&レスポンスの尊さだ。

歌を歌っているスズ子を中心に、羽鳥先生の「トゥリー・トゥー・ワン・ゼロ!」、フルバンドや楽団の奏者たち、「スズ子―!」というコール、手拍子、拍手を送る仲間たちと観客、すべてがつながり、メロディを奏で、幸せな世界が成り立っていた。

毎朝、ズキズキワクワクな歌声をありがとう。素晴らしい半年間だった。まだまだしばらくは、あの歌声が耳から離れないだろう。

歌おうよ! 歌おうよ! バーンジー……。

(文・田中稲)

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