倖生の見返りを求めない優しさ
「やっぱり、倖生さんは人を幸せにする人です!」
ありすに褒めてもらったときの倖生(永瀬廉)の嬉しそうな表情に、胸を打たれた。おそらく、彼はこれまで他人に心を開いてこなかったのだろう。ありすのように、土足でズカズカと心の内まで入り込んでくれるタイプの人も周りにいなかったのだと思う。
ひとりぼっちになってしまうことの寂しさを知っている倖生は、ありすや和紗のうざったくなるほどのお節介が、意外にも心地よいのかもしれない。
同級生の百花(大友花恋)に、「倖生くんって昔から優しくて気ぃ遣いなところあるから、他人と一緒に住むなんてストレスじゃない? 無理してるでしょ?」と聞かれたとき、「無理はしてないかな」と答えたのも、強がりではなく本心からくるもの。
「あの子(=ありす)は信用できる気がする。信用しても大丈夫な感じ。だから、俺もそのぶん頑張って応えないとと思ってる」と返していたのも、胸にグッとくるものがあった。
倖生の優しさには、見返りを求めないという特徴がある。ありすに対しても、そうだ。彼の行動は、“やってやってる感”がない。ありすのこだわりに合わせて赤い服を着てあげているのも、倖生なりの気遣いなのだろう。
絶対に、「お前のために赤い服にしてやったんだよ」と言うことはない。倖生のさり気ない優しさは、永瀬が作詞した楽曲「きみいろ」の歌詞<こんなにも君だけ想っていること/君は知らなくてもいい>に通ずる部分がある。
また、第3話を通して改めて、永瀬はヒロインの幸せそうな姿を遠くから見守っている役柄が似合うなぁと思った。「俺が俺が」ではなく、まわりの幸せを第一優先に考えられる。倖生は、自分が思っているよりもはるかに素敵な人間だ。