いよいよ明かされるベキの過酷な半生
ベキの回想が始まる。その半生はあまりにも壮絶なものだった。
1978年から内戦が続いているバルカ共和国に公安の任務で渡った若き乃木卓(林遣都)。表向きには「農業使節団」として活動するうち、その功績により人々から「ノゴーン・ベキ」=緑の魔術師と呼ばれるようになった。
しかし内戦が続き、民族間の争いは激化。家族の身の安全のためにバルカから退避を要請するが、上層部の裏切りにより、救援に来たはずのヘリは、着陸することなく引き返してしまう。
乃木一家は武装勢力に捕まり、幼い憂助は人身売買組織に連れ去られ、夫婦は囚われの身となって拷問を受ける日々を送る。獄中、妻・明美(高梨臨)はベキの目の前で息を引き取る。
絶望の淵にいる卓を救ったのは、当時、乃木夫妻を捕らえた武装勢力の一員だったバトラカだった。心身ともにボロボロになりながら、数年にもわたって憂助を探し続ける卓だったが、役所で「(憂助と思われる少年は)死んだ」と告げられる。