思わず静止して“絵”を楽しめる作品
企画の素晴らしさについても触れていきたい。まず、テレパスの能力を持ったヒロインというだけでも惹きつけられるのに、その相手を韓国人留学生にすることで、国際恋愛の要素も入れ込んでいるのがすごい。また、テオは心の声が韓国語なため、侑里には彼の気持ちが分からない。「この人となら、テレパスの能力を持ったままでも恋愛できるかもしれない」と思い、一気に急接近したのも納得できる設定だ。
そして、本作の魅力を語る上で欠かせないのが、演出の素晴らしさ。第1話、テオが暮らすアパートの屋上で、落ち葉が舞っているシーンを観たときに、このドラマは“絵”を楽しめる作品になるんだろうなと思った。その想いは、最終回まで変わらなかった。まるで1枚の絵画のような、静止してじっくり眺めたくなるようなシーンが、このドラマにはたびたび登場する。
また、侑里がテレパスの能力を持っているがゆえの演出にも、何度も涙させられた。筆者のなかで、最も印象に残っているのは、第5話で花岡が「ずっと好きだった」と心のなかでつぶやいた場面。本来なら、心の声は聞こえないから、彼の気持ちが伝わることはない。でも、侑里にだから届いてしまった。
そして、テオの心の声がなぜか日本語に変わるシーンも印象深い。このあたりから、SNS上で「もしかして、テオは侑里の能力を知っているのでは?」「知っていて、わざと日本語にしたの?」などと考察が上がるように。
視聴者の予感は的中し、本当にテオは心の声を読まれているのを知っていたわけだが、それを直接表現するのではなく、遠回しに描くとことが『Eye Love You』らしいお洒落な演出だと感じた。