ドラマ制作の裏側にある葛藤
令和では、エモケンの脚本家降板騒動により、羽村と市郎は慌てていた。ホテルのスイートに滞在していたエモケンは、エゴサしたことで創作意欲を失っており、脚本もたったの5ページしかかけていない始末。自分の老いを認めたくない一方で、過去の遺産で食いつなぐだけでは生きている感じがしないと沈むエモケンだったが、出来上がっているわずかな脚本を読んだ羽村はその面白さに胸を打たれたのだった。
しかし、遅筆なエモケンにはある秘密があった。市郎が別の部屋を覗くと19歳下のインフルエンサー(馬場園梓)がパソコンを操作しているのを目にする。ゴーストライターかと思われたが、実はエモケンはデジタル弱者でパソコンの操作ができないだけだった。
部屋中に散らばる無数の原稿用紙にはアイディアが書き殴られ、それを見た羽村はエモケンの才能が死んでいないことを知り、今日中に脚本を完成させられるように手を貸すという。
ネットユーザーたちの伏線回収を期待する声に応えられるような脚本を書くことができないと頭を悩ませるエモケンに対し市郎は、まず自分が納得のいく1話を書き上げることを提案する。
しかしかたくなに伏線回収にこだわるエモケン。市郎は「(伏線)回収しなきゃだめかね?」「あんたは神様か?」と問い、「最終回が決まらなきゃ書けないなんて冗談言うなよ!」と激昂する。
市郎の中では純子と自分の“最終回”が決まっていることと重なり、ドラマも人生もいつかは終わってしまうなら、最後の最後までとっちらかってても良い、「最終回が決まってないなんて最高じゃん」と涙する。