ホーム » 投稿 » ドラマ » 吉田羊のセリフが矛盾している…? 宮藤官九郎脚本の危うさとは? ドラマ『不適切にもほどがある!』第7話考察&感想レビュー » Page 5

尖りまくりのキャラクターとキレキレのセリフ

『不適切にもほどがある!』第1話より ©TBS
不適切にもほどがある第1話より ©TBS

今回、吉田羊演じるサカエの歌声に思わず聞きほれてしまった。と同時に、サカエのあるセリフが気になってしまった。

サカエがツヨシの担任である安森先生に告白されるシーンだ。

安森先生の見た目がドンズバで好みだがルッキズム反対のサカエは、見た目で人を判断せずに中身で良いところを見つけるまでは安森先生のことを“板東英二”だと思うことにして、気持ちに蓋をする。

そう、口ではルッキズム反対!と唱えながらも、自分の好みではないであろう板東英二を思いっきりいじり倒しているのだ。これまでも『金曜日の妻たちへ』(TBS系、1983~1985)の板東英二ネタは度々登場している。

ドラマからのネタなのだが、個人としては板東英二というワードが絶妙かつなぜか腑に落ちてしまうことから思わず笑ってしまう一方、サカエの発言が市郎よりも危うくなってきてしまっていないかと心配してしまう…。

不登校児を放置する昭和の教育体制に苦言を呈す力強い一面は見ていて清々しいが、言っている事とやっていることが違う場面が目立つ受け取り方が難しいキャラクターだ。

サカエだからこそ光るセリフが多くあるのも事実だが、個人的にはサカエには正義の味方でいてほしい。

そして今回、妙に笑ってしまった「スマホを落としただけなのか?スマホを落としただけなのね」というゆずるのセリフ。映画『スマホを落としただけなのに』(2018)とかけてのセリフであり、それ以外の意味はないのだが、こういう台詞一つ一つにクドカンの遊び心が見えるのも、クドカン作品の魅力の一つだろう。

(文・野原まりこ)

金曜ドラマ『不適切にもほどがある!』TBS系毎週金曜よる10時放送中

【関連記事】
なぜかモヤモヤする…視聴者を混乱させた”ある人物”の発言とは? 『不適切にもほどがある!』第4話考察レビュー
“あえて空気を読まない”脚本に賛否…宮藤官九郎のいじりに反応したのは? 『不適切にもほどがある!』第5話考察レビュー
なぜ吉田羊は“クドカンドラマの理想の女性” なのか? ドラマ『不適切にもほどがある!』第6話考察&感想レビュー

1 2 3 4 5