感動のクライマックス
問題はその後だ。金銭問題は解決のめどが立たないまま、越山高校は甲子園出場を決める。一方、地域の人々の不安をよそに必死の募金活動が功を奏し、金銭問題は解決する。
その後、南雲は全校生徒を前にした壮行会の場で「自分は本来、こんなところで話すような人間ではない」と語りながら、応援への謝意を口にする。さらに「負けてもそこで終わりではない。次を目指している限り、人は終わらない」とエールを送るのだ。
そして場面は一気に2023年の冬に移る。そこにはコーチに就任していた翔の姿があった。根室は社会人野球チームに属し野球を続けている者、プロになった者、就職した者、起業した者…それぞれが違う人生を送っていた。南雲はボランティアで、子どもたちに野球を教えていた。しかし、皆が“南雲チルドレン”として、同じ目標に向かって闘っていた同志であり、久々に顔を合わせても一瞬で気持ちが通じ合う仲でもあった。
さらに場面が展開し、本作最大の見せ場でもある甲子園球場でのシーンが映し出される。満員のスタンドを背に、「お前たち、この光景を忘れるなよ」と告げる南雲。それは、多くのエキストラを動員し、空撮も採用しながら迫力あるラストシーンとなっている。まさに、甲子園球場が「聖地」と呼ばれる所以だ。