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不寛容な社会へ「NO」を突きつける名ゼリフ

©TBSスパークル/TBS 撮影:ENO
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越山高校が三重大会を制し、甲子園に出場するまでを描いた本作。結末が分かり切っているドラマにも関わらず、視聴者に対して、これほど没入感を与えた理由は何だろうか。

幽霊部員だらけの野球部に、1人の熱意ある指導者が現れ、周囲を巻き込みながら、とりあえず、試合ができる9人の選手を集めるところから始まり、応援してくれる地元の名士からグラウンドが提供され、徐々に「野球部」としての体裁が整い、第1志望だった強豪の星葉高を不合格となった選手が入部し、実戦経験を積む中で強くなっていく。

ところが、南雲の偽教師事件が発覚してしまう。当然ながら、南雲は越山高とその野球部から追放される。しかし、ここで立ち上がったのが野球部の選手たちだ。自分たちに野球の楽しさを教えてくれた恩人に、もう一度チャンスを与えてくれるよう動く。

さらに、前監督だった横田宗典(生瀬勝久)が、南雲の復帰を渋る校長の丹羽と、野球部のパトロンでもある犬塚を前に

「失敗した人間の背中、いつまでも蹴り続けて楽しいか!?」

「あんたらは、いっぺんも失敗したことないって言うんか。私なんかもうずっと失敗。失敗して、失敗して、失敗重ねて今があるんとちゃいますか。南雲脩司は自分の背中、子どもらに見せようとしてます。みっともない、情けない背中です。それ蹴飛ばして、何が教育者や!」

と激しい言葉で説得する。

このセリフこそが、本作の肝といっていいほどの名シーンだと考える。

南雲は確かに失敗した。しかし、その1回の失敗だけで、指導の道を永遠に断たれるような不寛容な世の中に敢然と「NO」を突きつけたメッセージ性が込められているのだ。

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