初戦は歴史的初勝利!
そして迎える夏の三重県大会予選、初戦の相手は昨年8強の五十鈴高校だ。初戦に向け、テンションを上げていく部員たちだったが、五十鈴高のある部員から、山住が以前勤めていた高校を退職した理由に関して “野球部員との淫行”だったという噂を聞かされる―――。
部員たちは動揺し、電話で南雲に事実確認を依頼するが、逆に叱られてしまう。そんな南雲に、部員たちはある提案をする。それが「1勝でもしたら監督復帰」というものだった。
野球部を引っ張る山住、そして南雲を野球部に戻すために部員たちは“1勝”を目指し、猛練習に励む。そして試合当日、スタンドには犬塚、横田宗典(生瀬勝久)だけではなく、隠れるように観戦していた南雲、そして美香も東京から駆けつけていた。
南雲は美香との会話の中で、なぜ三重県での教員採用試験にこだわったのかを語り出す。
それは、病床に伏し、死期が迫る母と美香が一緒に過ごせる時間を少しでも取れるようにと考えた末の決断だった。そのため南雲は、留年すら許されない状況だったのだ。言葉には出さなかったが、美香は、南雲の“無免許教師”事件の原因の1つに自分の家族が関わっていることに思い至る。
颯爽とグラウンドに散り、ポジションにつく越山ナイン。しかし山住は、自分の醜聞を暴露した五十鈴のエース・椎野の存在が気になり、試合に集中できない。越山は先制点を奪われ、苦戦を強いられる。
そんな越山ナインは、グラウンドに南雲の姿を見つける。にわかに盛り上がりを見せるナイン。その存在は試合の流れをも変え、7回に根室の3ランなどで一気に逆転する。
リードを奪って最終回、エースの犬塚は続投志願する。しかし疲労は隠し切れない。ここで、かつては頼りないことこの上なかった守備陣が踏ん張る。
見事なランダウンプレーでピンチを切り抜け、11年連続初戦敗退の危機から脱し、歴史を変える勝利を飾る。狂喜乱舞するナインは、グラウンドの南雲にガッツポーズで声を掛ける。
試合後の両チーム挨拶の場でも五十鈴高の椎野は、山住の淫行疑惑を口にするが、それに対し山住はきっぱりと否定し、退職の真の理由を明かす。椎野は自分が情けなくなったのか、その場で泣き崩れる。
そこから一変して、場面はある病院へと切り替わる。犬塚が目の検査を受け、医師に「すぐに手術を…」と勧められるが、犬塚は「嫌だ。翔の姿が見られなくなるから」と拒否する。どうやら失明の危機にある病気のようだ。