登場人物の『再生』によって
視聴者も成長できるヒューマンドラマ
この物語は、“ザン高”とバカにされ続けた越山高校の野球部員たちが、ある教師によって生まれ変わっていくストーリーを軸としているが、それだけではない。
多くの生徒をはじめ、仲間や家族に守られながら1人の男が救われ、再生されていく様を描いている点で、従来の学園ドラマやスポーツドラマとは一線を画すものとなっている。
視聴する側も、主人公の南雲を中心としながらも、越山高校野球部員とともに成長しているような没入感があり、思わず応援してしまっていることに気付かされるヒューマンドラマだ。
歴史的1勝を挙げたとはいえ、まだ“たかが1勝”だ。このチームは373日後、県大会を制し、甲子園出場を果たすのだ。この、遠すぎる道のりをどう描いていくのか。聖地へ辿りつくまで、どんな障害が待っており、それらをどう克服していくのか…。
ここからが本当の勝負が始める。その過程をじっくりと味わっていきたい。
(文・寺島武志)
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