最終回での真の主役
まず前回からつながっていた堀口の弔い合戦としての公安部長・佐川(杉本哲太)との戦いでは、不慮の死を遂げた堀口の無念を晴らすため、身元不明人相談室が動き出す。一度は上からの圧力に屈し、追い詰めることはかなわなくなったかと思われたが、堀口の周囲の人間の協力もあり、動かぬ証拠を突きつけることに成功する。
すると、佐川は堀口の戸籍偽装の全責任を認め、公安部長を退任。第10話開始から20分程度で、あっさりと“ラスボス”との戦いに終止符が打たれることに。あくまでも『GO HOME』は権力との戦いを描きたいわけではなく、最後まで身元不明の遺体が主軸であることが強調される。
最終回での真の主役は、桜の命の恩人。自ら命を絶とうとした桜を止めた人物は藤田昭良(尾美としのり)という名前であることが発覚する。彼もまた家族との間に問題を抱え、突然姿を消したことで妻・真知子(藤田朋子)や娘の秋桜里(富田望生)は父親を許しておらず、遺骨の引き取りを拒否するのだった。
しかし、桜が持ち前の粘り強さを発揮し、昭良が死ぬ直前に家族思い出の場所を訪れて娘のことを考えていたことを秋桜里に伝える。それを聞いた秋桜里は涙を流し、真知子は再び昭良と向き合うことを決断。桜が昭良の真意に気づいたきっかけも母・葉月(鈴木杏樹)からの手紙というのもある種の“伏線回収”だった。
桜と母の関係性はすでに第5話で描写済み。親子であってもすべてわかりあうことはできないというリアルを描いていたが、今回は一歩進んで母・葉月が娘のことを「知ろうとしなかったこと」に目を向けた。万事解決とはいかないものの、母の思いが確かに通じていることは、冷めた唐揚げを頬張りながらこみ上げるものを抑える桜の表情から確かに伝わってきた。