亡くなった人と遺族の関係に焦点を当てる
雪雄の姿を端から見れば、苦しさに満ちた生活に同情してしまうかもしれない。「少しでも自分と母のそばにいてほしかった」と漏らす秋信からすれば、父は哀れで自業自得かもしれない。しかし、決して「かわいそう」ではない。最初は息子への償いのためにしていたことが、いつからか息子を想う大事な瞬間へと変わり、日々の生きがいとなっていたことを桜は秋信に知らせる。
雪雄の生前にはその気持ちが息子の秋信に届くことはなかったが、桜と真の働きによって最後は親子2人の心が通じ合う。最初は父が遺した4000万円について「汚い金に決まっている」と考えていた秋信も遺骨を引き取り、お金は重い病気を患っている息子の医療費にあて、残りは寄付することを決めたのだった。
初回となった1話に続いて謎解きの部分にはそれほど時間が割かれず、あくまでも亡くなった人と遺族の関係に焦点が当たっており、これまで「死」を扱ってきたドラマとの明確な差別化が見られる。また、テンポの良さによって話全体が重くなりすぎず、かつハートウォーミングなラストを迎える温かさが際立った。