一人二役を演じきった山本美月
自分の人生は思っているよりも周囲に影響を与えている。そして、下を向いて歩き続けるほど、人生は空虚なものではない。もちろん、3話でいえば、整形でここまで容姿が瓜二つになるのかとか、声はここまで似せられるかなど、フィクション性の強さを感じた場面はあるのだが、案外人生って捨てたもんじゃないよねというメッセージを、ドラマからは感じることができた。
また、一人二役に挑んだ山本美月もさすがの演技力を見せてくれた。特に美江が梨々香に入れ替わった後では容姿が同じで中身が違うという、複雑な演技を求められており、本人も「演じるのはとても難しい役」とコメントしていた。それでも、細かい手の仕草や美江が元来持つ自信なさげな表情などを使い分け、結末が明らかになった後では太一が正体をひと目で見抜くのも十分に納得できた。
これまでの2話に比べてミステリー要素が強まった中でも、1話完結で温かく包み込むようなラストは変わらず、ドラマとしてのコンセプトは一貫している。第4話の予告には、真の婚約者・小田切慎一(福田悠太)が登場しており、真の過去が明らかになりそうな予感が高まる。仮に、胸を締め付けるような苦しい過去が彼女にあったとしても、安心して最後まで見届けられるという視聴者からの“信頼”をこの3話で作り上げたのではないだろうか。
(文・まっつ)
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