福田悠太の印象的な芝居
また、真を演じた大島の表現力も鮮やかだった。不安そうに映像を見つめる顔、そして震えながら発した「拡大してください」という言葉にずっと待っている辛さと真実を知ることへの恐怖が詰まっているようだった。
相手役を務めた福田悠太にも触れないわけにはいかない。爽やかな印象を与える記者時代から“壊れて”しまった後の無精髭姿まで、1話の中で強く変化を印象付けた。容姿だけでなく表情でも、婚約者といるときの笑顔や誰かを勇気づけるときの鬼気迫る場面など、限られた時間で幅広い“顔”を見せる。
登場シーンは決して長くはなかったが、慎一という人間の輪郭はしっかりと伝わり、大島もインタビューで「『2人の関係性はこうだったんだろうな』『未来はこうしたかったんだろうな』『こんなこともしたんだろうな』という想像をかき立てられるようなお芝居をしてくださった」と感謝を述べる。
作品を通してセリフは最小限となったが、今後はもっと喋って動く姿を見たいと感じさせた。
4話では真の過去を聞いた桜が自身の過去についても明かそうとしたが、真がすでに寝ていたことで話すのをやめた。しかし、ラストシーンで桜のスマホには母・葉月(鈴木杏樹)からの着信が届き、視聴者がやきもきする時間はそれほど長くはならなさそうであることが示される。
名前のない墓石に手を合わせ、「私も過去に縛られてる」と話す桜の過去は一体どのようなものだろうか。彼女の死者に寄り添いすぎるという性質は作品内でも度々指摘されており、その背景も含めて過去には注目したいところだ。
(文・まっつ)
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