小芝風花の見事な芝居
対比構造を見せながら、親子関係のリアルを描いた脚本はまさにあっぱれだったが、主演の小芝風花の演技も見事と言う他ない。とりわけ第5話ではコロコロと変わる表情に注目した。
室長(吉田鋼太郎)に「朝ラー行きましょ」と誘う際の快活な表情や、女子会で気の置けない友人たちの前で屈託なく笑うシーンなどは小芝の女優イメージにもそのまま当てはまる。一方で、苦手とする母の前では張り付いたような笑顔や、無理して笑みを浮かべながら言葉を紡ぐことで桜の負の側面も巧みに表現。仮に音声なしで鑑賞していても、難しい関係性であることが見て取れるような印象的な表情の数々を見せてくれた。
最後には頼れる相棒である月本真(大島優子)に慰められ、抱きしめられた桜はこみ上げる涙をこらえられない。その涙はあまりに自然で、痛いほどこちらの共感を誘う。
思えば、これまでの桜は共感性の低いキャラクターだったように思う。捜査官として突っ走りがちな行動が目立ち、SNSでも否定的な意見が少なくなかった。だが、それも桜が誰よりも死を選ぶ人の痛みが理解できてしまうがゆえ。自殺しようとした際の暗澹たる表情があることで、今の桜につながっていると、視聴者として自然に納得することができた。桜という人物像の伏線を回収しているような第5話は、『GO HOME』におけるハイライトと呼べる一話となったはずだ。
(文・まっつ)
【関連記事】
【写真】小芝風花の陽と陰の落差が凄い…神演技を堪能できる劇中カットはこちら。ドラマ『GO HOME~警視庁身元不明人相談室』劇中カット一覧
”真”の過去に大号泣…限られた出番で存在感を見せた福田悠太の魅力とは? ドラマ『GO HOME』第4話考察レビュー
山本美月の芝居が上手すぎる…“強引な展開”に納得させられた理由とは? ドラマ『GO HOME』第3話考察レビュー