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犬を登場させる必然性

『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』第7話 ©日本テレビ
『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』第7話 ©日本テレビ

 千明の遺骨が宙ぶらりんの状態となってしまったことで、物語が一瞬停滞状態になったと感じたが、それを動かすのが愛犬という設計も鮮やかだった。

 桜は千明の愛犬マコトを連れて真由美の元を訪ねると、マコトの“通訳”をしてほしいというお願いで真由美の心の奥底の思いを聞いていく。すると、覚悟を決めた真由美は「千明との時間は、本当に幸せで、かけがえのないものでした」と明かす。

 正直、この時点までは“遺留犬”を出す必然性をそこまで感じていなかった。しかし、飼い主だけではなく、その恋人との結びつきの強さを表すような演出にはあっと言わされた。

 さらに、身元不明人相談室の懸命な捜査から、千明は子供を作るために婚活アプリで出会った男性に人工授精を持ちかけていたこと、その子供と真由美の3人で旅館を継ぎたいと考えていたことが明らかになる。愛する人の願いを知った真由美は千明の両親の元へ向かう。

 すでに千明は亡くなっているわけだから、真由美は今更2人の関係を認めてもらう必要はない。そんな中で、真由美が求めたのはある種“普通”のこと。「彼女がずっと帰りたかった場所は、ここなんです。だからどうか、お帰りって言ってやってください…どうか…」と千明を迎えることを求めるのだった。

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