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シリアスとコミカルのバランスが抜群…『GO HOME 警視庁身元不明人相談室』が他のドラマとは一味違うワケ。考察レビュー

text by 苫とり子

現在放送中のドラマ『GO HOME〜警視庁身元不明人相談室〜』(日本テレビ系)。警視庁に実在する部署をモデルに、身元不明の遺体の真相を明らかにし、家族や恋人の元に帰す為に奔走する。今回は、物語前半の内容を振り返りながら本作の魅力に迫るレビューをお届け。(文・苫とり子)【あらすじ キャスト 解説 考察 評価 レビュー】

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【著者プロフィール:苫とり子】

1995年、岡山県生まれ。東京在住。演劇経験を活かし、エンタメライターとしてReal Sound、WEBザテレビジョン、シネマズプラス等にコラムやインタビュー記事を寄稿している。

実力派スタッフを揃えたミステリー&ヒューマンドラマ

『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』第1話 ©日本テレビ
『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』第1話 ©日本テレビ

「私を知りませんか?」という文言とともに、幅広い年齢層の男女の似顔絵が並ぶ。そこは、警視庁身元不明相談室。身元不明の状態で見つかったご遺体を、わずかな手がかりから特定し、関係者の元へ帰す使命を担っている機関だ。その数は全国で2万体にも及び、年々増加傾向にあるという。

 そんな身元不明相談室を舞台にした『GO HOME~警視庁身元不明人相談室~』(日本テレビ系)が現在放送中だ。

 メインライターを務めるのは『半沢直樹』(TBS系、2013)やNHK連続テレビ小説『おちょやん』(2020)などを手がけ、2026年にはNHK大河ドラマ『豊臣兄弟!』で脚本を担当することも決定しているヒットメイカーの八津弘幸。

 主要キャストも小芝風花、大島優子、吉田鋼太郎、戸次重幸、高島礼子など実力派が揃い踏みで、放送前から注目されていたが、期待通り見応えのある傑作に仕上がっている。

 本作は、警視庁の“掃き溜め”扱いされている身元不明相談室に自ら志願して配属された捜査官の変わり者の主人公・三田桜(小芝風花)が、10歳上で性格も趣味も正反対の同期・月本真(大島優子)とともに、ご遺体を家族のもとに返すために奔走するストーリー。

「ありそうでなかったミステリー&ヒューマンドラマ」という宣伝文句の通り、『アンナチュラル』(TBS系、2018)や『監察医 朝顔』(フジテレビ系、2020)など、これまで主人公たちが「その人がなぜ死に至ったか」を明らかにしていくストーリーは存在していたが、「死に至ったその人が誰なのか」を特定していくストーリーは初めてではないだろうか。

 だが、それだけではないのが本作の特徴だ。ずっと行方不明だった夫の遺体が見つかるも、その死因に納得できずに受け取りを拒否していた妻や、幼い頃に借金を残して家を出て行った父親が、自分のために4000万円もの大金を残して亡くなるも強く拒絶する息子など、身元が特定されたからといってそれで解決…というわけではない。

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