桜&真がそれぞれ抱える過去とは
しかし、明るく見える桜と真にも暗い過去があることが初回の放送から匂わされており、先週放送の第4話では真の元婚約者・慎一(福田悠太)の真相が描かれた。もともとは出版社の記者だったが、自分の書いた記事が他人を自殺未遂にまで追い詰めてしまったことで心が壊れてしまった慎一。
出版社を辞めて福島の実家に帰った矢先、東日本大震災に巻き込まれた慎一はそのまま行方がわからなくなっていた。そんな慎一が最後まで逃げ遅れた被災者を津波から避難させていたことが明らかになった第4話。印象的だったのは、慎一を演じる福田の芝居だ。
福田は男性アイドルグループ“ふぉ〜ゆ〜”のメンバーで、活動開始当初から役者業を平行させてきた。特に舞台での活躍が目覚ましく、海外ではトニー賞も受賞した「ボーイング・ボーイング」(2022)や、映画『ラ・ラ・ランド』にもそのオマージュが多数散りばめられている「東京流れ者」(2024)など秀作で主演を務めている。
そんな福田はわずかな出演シーンの中でも、慎一の記者時代の快活そうな姿から、出版社を辞めた後の暗く沈んだ表情、使命感を燃やす最期の瞬間までの変化を巧みに体現した。
本作では毎回、遺体が見つかった場所で手を合わせる桜の隣に亡くなった人の幻影が浮かぶ感動のラストシーンが印象的だが、第4話では海に佇む真の隣に慎一が寄り添う。その穏やかで愛情に満ちた表情に自然と涙が溢れた。
福田をはじめ、浅利陽介、片岡鶴太郎、萩原聖人、葵揚、東野絢香など、ゲストも実力あるキャストで固めている本作。桜と真を見守る上司役の、吉田鋼太郎、安田顕、半海一晃ら名優たちのシリアスとコミカルのバランスが抜群な芝居も見応えがあり、目が離せない。
一回の休止を挟み、2週間ぶりに放送される第5話ではついに桜の過去が描かれる。これまでも名前が刻まれていないお墓の前で桜が手を合わせるシーンが描写されていたが、果たしてその人は何者なのか。もうすぐ折り返しを迎える本作に引き続き注目していきたい。
(文・苫とり子)
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