反町隆史の新境地

反町隆史といえば、甘いマスクと鍛え上げられた肉体が持ち味で、常に格好いい主人公を演じてきたイメージがある。『ビーチボーイズ』（フジテレビ系・1997年）、『GTO』（フジテレビ系・1998年）、映画『男たちの大和/YAMATO』（2005年）などの代表作でも、美しくたくましい役柄を演じてきた。

ところが今回、反町が演じる主人公・藤巻は、出世争いからも脱落し、弱気な性格が災いし、妻からも病院の職員からも見下され、その上、白鳥の悪行の片棒を担がされるダメ医者という設定だ。

その表情は常に恐怖に怯えており、どこか憂いを帯びている。セリフ回しもボソボソとした語り口で、これまでの反町の演技では見せなかったもの。その姿は意外性とともに新鮮にも映る。

50歳という年齢を感じさせない反町だが、その年齢に見合うように、演技の幅を広げようとする新たなチャレンジに取り組んでいるようにも見える。本作を契機として、俳優としてさらなる成長を見せ、幅広い役柄を演じ分けられる俳優として認知されるターニングポイントとなるかも知れない一作だ。そういう意味では、ストーリーのみならず、反町の演技にも注目だ。

（文・寺島武志）

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