まひろと道長の恋
ついに天皇の外祖父として政治のトップに躍り出た兼家。その裏でまひろと道長の恋も進展する。
道兼がまひろの母を殺したという秘密、直秀(毎熊克哉)を亡くした悲しみ、そこから生まれる貴族社会への怒り。ここまで、まひろと多くの出来事や感情を共有してきた道長の恋心は頂点に達する。
その溢れんばかりの思いを和歌にしたため、恋文としてまひろに送る道長。一方、まひろからの返答は全て漢詩だった。道長から相談を受けた行成(渡辺大知)は以下のように見解を述べる。
「そもそも和歌は、人の心を見るもの。聞くものに託して言葉に表しています。翻って、漢詩は志を言葉にして表しています。つまり、漢詩を送るということは、送り手は何らかの志を詩に託しているのではないでしょうか」
まひろが道長に伝えたかった“志”とは何だったのか。その後、廃邸で密会した二人。そこで、道長はまひろに「一緒に都を出よう」と駆け落ちを提案する。
右大臣の息子ともあろう道長が、自分のために身分や家族まで捨てると言っている。まひろにとって、これほど嬉しいことはないだろう。だが、まひろはきっぱりと断る。二人で生きる未来を憂いているわけではない。道長のことを嫌いになったわけでもない。
それどころか、まひろは当時は穢れであった直秀の死体に触れ、自ら埋葬し、涙した道長を以前より愛しいと思うようになっていた。だが、「あなたの使命は違う場所にあると思います」とまひろ。その使命とは、直秀のように無惨な死に方をする人がいない世の中を作ることだ。